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按摩・マッサージ

按摩マッサージ師に望みたいこと

按摩マッサージ師に望みたいこと。それはつまり私がしたいことに共通するわけで、別に無理強いするわけでも、これが唯一の理想の按摩マッサージ師だというわけでもなく、単なる願望です。

1,いつもいつも言うのですが、解剖学知識の充実を。解剖学は暗記物ではありません。解剖学での情報は、本の上では2D、つまり二次元のものです。解剖図を見ても別に立体であるわけではありません。しかし、治療に当たっては頭の中でそれを3Dに変換して、それがどのような構造をしているのか、どのような機能を持っているのかを考えていく必要があります。解剖学は暗記だ、単なる知識だといっている人は、2Dから3Dへの脳内変換ができないと行っているにすぎないのです。それでは、解剖学を臨床に生かした、より科学的、論理的な治療はできるはずもありません。

2,触診は、押さえるものではありません。もちろん揉むものでもありません。人間の手の感覚というものはすごいものです。触れれば、深部までわかります。それを実践していない人は、本当?と思われるかもしれませんが、たとえば、腰部に手を当てると、皮膚の下の組織だけではなく、深部の筋肉、さらには腰椎までどのような状態かを知ることができます。いえ、そのように触診できるまで練習しなければならないのです。押したり揉んだ入りは誰でもできます。でもそのような強い圧を加えると言うことはその部位の組織は外力によって一時的にせよ変性を起こしています。そのため、正確な触診というものができなくなっています。学校の教員でさえ、触診はぐいぐい押せと教えているのがいるそうですが、とんでもないことです。

3,その触診と3D解剖の映像を頭の中でリンクすることが重要です。そのことによりmaru
○で目に見えているように、触ったその部分の深部の解剖学的様相が理解できるのです。その意味でも解剖学は生きた学問ですし、触診をおろそかにすると言うことも無駄なことをしている事であると言えます。

4,その手技が何を成しているのかを理解して施していますか?今行っている手技がどのような作用をもたらしているのか、全く考えないで施術している人がいます。ただ揉むだけ、押すだけ。そのようなものは治療とは言えません。その組織がどのような状態にあるのか、それをどのようにしないのかあるいは全身状態として今どのような状態なのか、それをどのようにしたいのかなど、総合的に患者さんの状態を把握し、よりいい状態に持って行くために何を成すべきで、何ができるのか、それを考えながら手技を選択しなければいけないのです。手技それぞれには特徴があり、作用、目的があります。それをしっかり考え、いかに目標を達成できるか、それが臨床というものです。

5,せっかく按摩について勉強しながら、東洋学をあまり知らないという人がいます。鍼灸だけではなく、按摩においても東洋医学の活用は非常に有効ですし、一層の応用性を持っています。たとえば鍼灸とあん摩マッサージ指圧師の免許を持っていて、鍼灸もするのだけれど、按摩の方は東洋医学的な考え方でできないから推拿をしているという人に出会ったことがあります。でもそれは違います。按摩は東洋医学の歴史の中で育ってきたものです。問題はそれが我が国の歴史の中で廃れてしまったこと。せっかくの手技がありながらそれを東洋医学の生かす術や役割を失ったことに問題があります。しかし、按摩の各手技をもう一度見直し、それが東洋医学的にどのような意味を持つのかをしっかり考えると、按摩が東洋医学のひとつの手法としての意味合いを持つことを再認識することができます。私が現在の臨床伝統医療研究会に至るまでの各セミナーで追求してきたもののひとつは正にそのことでもあるのですが、按摩マッサージ師に置いても按摩を考える上で、東洋医学の重要性というものを今ひとつ考えて欲しいと思います。

げんき本舗治療院
院長・羽山弘一

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