オステオパシーについて

オステオパシーについて
オステオパシーとは

オステオパシーとは

オステオパシー Osteopathyの起源は

オステオパシーは、1874年にアメリカの医師アンドリュー・テイラー・スティル博士が発表したのを起源とする医学です。1910年には正式の医学としてアメリカで公認され、現在アメリカでは、通常の医師と同等にオステオパシー専門医として全米で認められています。 我が国では、1910年頃に伝えられたとされていますが、我が国に紹介した人が自身独自の方法を付け加えて整体のひとつとしたため、普及せずに終わりました。

因みに、カイロプラクティックは1895年に、自然療法家のダニエル・デヴィット・パーマーが、オステオパシーを始めいろいろな方法を勉強し創始したと言われています。

現在では、アメリカでは、M.D(メディカルドクター)、D.O(ドクターオブオステオパシー)が正規の医師免許で、D.C(ドクターオブカイロプラクティック)はそれに次ぐ准医師免許として認められています。

なお、整体は、我が国独特の名称で、これといった理論はありません。中には医療として怪しいものもかなり多く見られます。

オステオパシーと、カイロプラクティックや整体は、このように起源も異なり、その理論や方法も全く違うものです。
オステオパシーはどんな事をする

オステオパシーはどんな事をする

オステオパシーにはさまざまな手法があり、オステオパシー治療を行う人によってもどのような方法をとるかはさまざまです。しかし、
  1. 1 人体はひとつのユニット(構造)である。
  2. 2 人体は自然治癒力を持つ。
  3. 3 人体のさまざまな器官や組織は物質でできており、その不調和や歪みが病気を引き起こす。
  4. 4 人体の機能とその構造は互いに関係し合い、その調和を図ることが大切である。
などといった基本的な理念は一貫して共通しています。
どのような手法を使うときも、これらのような考えのもと、体性機能障害(ソマティックディスファンクション、略してSD)という、身体の機能の障害をどのように改善するかを目的とすることは共通しています。

例えば、腰痛を例に挙げてみましょう。

オステオパシーでは、痛みのあるところのみを直接治療するということはしません。 身体は全体でひとつの機能をしており、他の場所がその腰痛の原因ということもあります。
従って、その腰痛が何に由来するものかを全身状態をよく調べて見つけようとします。
ある時は腰の骨が原因かもしれませんが、場合によっては、足首の古いケガが原因のこともありますし、ときには、出生時の首や頭への負担が原因になっているかもしれません。
ひょっとすると、内臓に問題があるかもしれません。これらを丹念に調べ、全身の機能を正常に整えることにより、その腰痛を改善しようとします。これが、オステオパシーの、他の現代医学などとの違いです。

また仮に腰・骨盤の骨や関節に腰痛の問題があったとしても、その歪みを取ることを重視しません。 歪みがあるのには原因があります。
極端に言うと、その歪みが機能障害(本来の正しい動きや働き)の原因でなければ、或いは機能障害そのものでなければ、治療する必要はありません。
仮に治療する必要のある歪みであれば、その歪みを改善するというのではなく、機能障害(働きの不調)を取り除くことを主眼とします。
例えば、オステオパシーでもカイロプラクティックのようなボキボキする手法(スラスト法)を用いることがあります。
しかし、無理やり歪みを取ろうとすることはなく、機能障害を改善するのが目的ですので、よりソフトに行います。従って、事故を起こす可能性は極めて少なく、痛みもありません。

当院のオステオパシー

当院でよく行うものには、下のようなものがありますが、これらを複合してさまざまな不調に総合的に対処します。
直接法
直接法
関節や筋肉に対して行う手法で、可動性の制限があったり歪みがあるところに直接働きかけて正常にするというものです。
主に、スラスト法という瞬時に圧力をかけて修復する方法と、細かな振幅を連続してかけて可動性を改善させる方法の2種類があります。
ボキボキさせる方法もありますが、全く痛みはありません。関節そのもの、その周囲の靱帯、筋、場合によっては内臓や神経などに対して行います。
間接法
間接法
直接法とは逆に、より動く方向に動かすことにより脳にその異常を知らせ、結果的に組織や器官を正常にするという手法です。ゆっくりと組織を動かしますので、痛みは全くありません。
頭蓋オステオパシー
頭蓋オステオパシー
頭蓋骨はひとつの骨ではなくたくさんの骨が、縫合という関節様のものでくっついています。 この縫合は動かないものとされていますが、オステオパシーでは動くものと考えます。
実際、頭蓋は、一定のリズムの目に見えない程度の動きで膨らんだり縮んだりしています。 脳や脊髄などの神経は、硬膜という膜に覆われています。
また、脳や脊髄などの中には脳脊髄液という液体が流れています。脳脊髄液は一定のリズムで波を打つように流れていますが、そのリズムに問題があったり、或いは硬膜の一部に引きつれがあったり、或いは、頭蓋骨自体に問題があったりすると、頭蓋骨の膨らみ方に異常が出てきます。
頭蓋オステオパシーは、その膨らみ方の異常を見つけ、また、横隔膜や仙骨など他の部分の状態も見ながら、全身の状態を改善しようというものです。
非常に穏やかな手法ですので、患者さんは、ほとんど頭に触られているだけにしか感じませんが、実際には、微妙な動きを感知して、その異常に対して治療を加えています。
筋膜リリース
筋膜リリース
筋肉と表面を覆っている筋膜の緊張の方向を見つけ、直接法または間接法を使って、その緊張をゆるめる方法です。
筋肉自体の柔軟性を高めたり、トリガーポイント(トリガーポイントについては、こちらをご覧ください。)を治す事によって、痛みやしびれなどを和らげる効果があります。
スティルテクニック
スティルテクニック
オステオパシーの創始者のスティル博士が、具体的にはどのような手法を使って治療をしていたかよくわかっていませんでした。
それを近年、バン・バスカーフ博士がメモ類などを研究して恐らくこのような手法だろうと発掘させたのがこの手法です。痛みを与えることなく、瞬時に体のゆがみや可動性の制限を改善させます。
ストレイン&カウンターストレイン
ストレイン&カウンターストレイン
身体のいずれかに緊張があると、一定の部位にわずかな圧痛が現れます。
その部位を目安に、もっともリラックスする位置でしばらく維持します。すると身体は、本来の正しい状態に戻ろうとします。その考えの元、治療を行う方法です。間接法のひとつです。

※ストレイン&カウンターストレインは、我が国では日本オステオパシー学会の登録商標です。
内蔵マニピュレーション
内臓マニピュレーション
内臓に対して行う手法で、フランスのバレル博士が現在の形を創始しました。 内臓には、自ら動く力がありますが、内臓マニピュレーションでは、手技を加えることにより、本来の内臓の動きを復活させ、正常な機能を取り戻すことを主眼として行います。

内臓マニピュレーションはときに痛いことがありますが、その痛みを改善するように治療を進めていきます。
このように、オステオパシーという医学の中にさまざまな手技があります。 ですから、オステオパシー「療法」というのは正確には間違いです(オステオパシー療法とか、オステオパシー手技療法とか書いているところには、本当のオステオパシーをしているところが少ないようです)。
例えば現代医学とはいいますが現代医学療法とはいわないのと同じ意味です。 当院ではこれらの手法を適切に組み合わせ、ときには、東洋医学的な見地からの手法や我が国の按摩マッサージの養成施設では教えていない欧米の医療マッサージの手法も加えて、その方にもっとも最適と思われる治療を行います。