ブログ

ブログ
按摩・マッサージ

肩関節可動制限の一症例ートリガーポイントを中心に治療

30歳、男性。

右肩甲上腕関節、前後に回すときに引っかかりがあり、軽度の痛みがあるという。
座位で後ろから観察すると、右肩峰部位が左に比べて約2センチ下がっている。また頚部は左に傾いている。腰部を見ると、両側とも腰方形筋に緊張あり。

過去に草野球をよくしていて、その際、同部位を痛めた経験があるとのこと。

右肩甲上腕関節周囲を触診すると、肩甲骨上角付近に緊張。さらに精査すると、肩甲上腕関節付着部及びその近辺の僧帽筋上部線維にトリガーポイント。圧痛あり、肩甲上腕関節部に関連痛あり。また、棘下筋下部位、小円筋にもトリガーポイントがある。それぞれ圧すると、肩関節周辺に関連痛がある。
これらのトリガーポイントに対し、座位及び仰臥位、伏臥位にてマッサージ及び筋筋膜リリースを実施。硬結、緊張が触診上、約50パーセントないし60パーセント消失。

この時点で右肩の動作を指示すると、かなり引っかかりが少なくなっているという。

伏臥位で、両側腰方形筋を触診。すると、左腰方形筋に強い圧痛。また、この圧痛は、「伸展された」痛みではなく、自らの緊張による痛みの様相。

通常、腰の筋緊張がある場合、その部位が収縮し、反対側の腰部が相対的に引き延ばされるが、この場合、緊張して痛みを発している部位を無意識にかばおうとして左の肩を上げる姿位になったものと推測する。通常このような場合、自発痛を訴えるが、今回のケースは腰に自覚的な症状はない。しかし、過去に腰痛を覚えたことがあるという。

左腰方形筋に対して持続圧迫を加え(圧痛を強く訴える)、その部位の圧痛が半減するのを待つ。

圧痛が半減した後座位にすると、両側肩峰の位置が水平にそろい、また右肩を動かすように指示すると、ほとんど支障なく動かせるようになったとのこと。

肩が下がると、その方の上腕は外転挙上しにくくなる。今回のケースは、左腰方形筋の緊張により、上半身の姿勢が変化し、左肩を上げる姿位になった結果、相対的に右肩が下がり、右肩甲上腕関節の動作時の痛みが生じたものと思われる。

RECOMMEND