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按摩・マッサージ

按摩・マッサージ師のための治療法講座(5)

今回は腰痛。

東洋医学的に言うと、前後屈がしにくい腰痛は膀胱経を、側屈がしにくい腰痛は肝胆経が関係あるとされている。でも実際はそのように簡単ではない。

なるほど単純に分類するとそのようなのだが、足太陰脾経が関係することもあるし、それらの表裏である足陽明胃経や足少陰腎経が関係することもある。

したがって、それらを詳しく診るためには切経と脈診が必要である。もちろん、個々の部位、組織の性状をしっかり触診できないといけないことは言うまでもない。

ぎっくり腰の時。僕の場合は、その反応に従って、金門あるいは公孫をよく用いる。ぐっと強く圧迫を繰り返すか、グリグリ輪状揉捏を行う。痛いくらいがちょうどよい。しばらくすると痛みが薄れてくるので、そうなればやめる。

腰部においては、極めてソフトな手技を行う。何をするかというと手掌を当てるだけ。ほんの僅かな圧である。手のひらを当てていると、筋緊張が伝わってくる。その緊張を感じ取り、緩むようにしていく。強い圧を加えるのは禁物である。

場合によっては、特に緊張している部位、可動制限を起こしている部位に指頭でごく僅かな圧を瞬間加え、ぱっと離す。本来はマッサージの手技ではないのだが、効果的である。これは仙骨の可動制限(仙骨も4つの仙椎から構成されていて、実は動くのである。もちろん眼には見えない動きだが、それくらいの可動域がわかるくらいでないといけない)にも応用できる。ある患者さんに言わせると、「ふーっ、ぱっ!」という感覚だそうだ。

ぎっくり腰でない腰痛でも揉捏は用いない。揉むから余計痛くなるのだ。静かに圧を入れ、定圧を加え続け、静かに離す。炎症を起こしている可能性のある部位は手掌を当てるだけにする。

加えて、腹部の諸筋の圧迫と摩擦を行う。腰痛の場合腹部にも緊張が出る。それを見極めて治療を施す。

あと重要なのは、腰椎と仙腸関節の可動性である。これらが減弱しているといつまで経っても腰痛は治らない。腰椎に関しては両手掌で伸展動作、あるいは上述の「ふーっ、ぱっ!」を行う。仙腸関節には、後仙腸靭帯部位に指頭で軽い圧をチョンチョンと加えるか、「ふーっ、ぱっ!」を行う。

いずれにせよ、東洋医学的知識(場合によっては藏府の変調のこともあり得る)と解剖学的知識がものをいう。

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