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セミナー

臨床伝統医療研究会・今期関西セミナー(初級)

当会のセミナーというのは、たいてい毎年内容は決まっています。

1,触診力を磨くこと。
2,治すための理論を身につけること。
3,治療技術を磨くこと。


この3つが融合して初めて、患者さんを納得させることのできる治療ができます。

鍼灸の場合、あるいは按摩においても、特に経穴を見つける、つまり取穴が大切ですね。取穴のためには、触診力が必要です。グイグイ押さえて経穴を探すのは大きな間違いです。皮膚表面をそっと触り必要な経穴を探すのが本当の取穴です。

また、経穴をさがす以外にも、身体の状況をいろいろ調べるため、触診が必要となります。

例えば、骨盤の変位。これを探ること。よく骨盤が歪んでいるとかいう人がいますが、そんなに歪むものではありません。せいぜい歪んでもほんの数ミリです。
しかも歪みを探すだけではいけません。歪みの中に本当の病的なものが存在するかどうか。これを触診することが必要です。たとえ歪みが生じていても、そこに機能障害が起きていなければ病的には問題となりません。その機能障害ー体性機能障害をいかにさがすかが触診の真骨頂なのです。

例えば、筋肉の緊張。よくあります。押さえれば痛い。それくらいなら誰でもわかります。しかし、その圧痛のある中で、本当に治療を施さないといけないところはどこなのか、筋の実質が主張しているだけではなく、筋膜に緊張などの病的変位が起きているところはどこなのか、それを探さなければなりません。やはり、触診力がモノを言います。

治すための理論は、東洋医学系と現代医学系に分かれます。

東洋医学としては、どのような構造において東洋医学が構成されているのかを知ることが大切です。単に機械的に「暗記」するのではなく、それぞれの東洋医学的組織や器官が相互にどのように結びつき、身体全体の機能を構成しているのかというメカニズムを知ることが必要です。

当会のセミナーの東洋医学は、座学を中心にこのような考え方の元指導をします。特に今期は、蔵のそれぞれの関係を中心に講義を進め、治療をする上で、どのように理論を有機的に組み立てればいいのかを主眼に学習を進めたいと思います。

しかし、理論を学びだけでは意味がありません。実際の人体において、東洋医学の考え方がどのように結びつくのかと言おうことを触診を通じて確認しつつ、治療を行わなくてはならないのです。
現代医学においては、やはり解剖学が基本です。学校でも解剖学を学んだと思います。しかしその学校での解剖学は「死んだ」解剖学です。

われわれは生きた人体を相手にしています。従って、解剖学を考える上でも、生きた人体において解剖学知識をいかに立体的に組み立て、考えていくかが重要になります。

例えば、横隔膜を考えます。横隔膜は、横隔神経によって動いています。そのため、頚椎の機能障害を考えるというのは非常に重要となります。また、横隔膜の動きと連動して、肋間筋や、斜角筋、腹部諸筋が動きます。単に横隔膜の存在だけを知るのでは治療になりません。呼吸をするとき、横隔膜が動くとき、胸郭全体はどのような構造的変化によってそれがなされるのかを知らなければなりません。その構造的変化を知るためには、解剖学を有機的に考えると主に、それを触診して確かめるという作業が必要となります。

触診力と、東洋医学や現代医学が、ここで結びつくのです。

また、このように触診力と各種学問が結びついたとしても、それを発揮する手段を身につけなければなりません。治療技術です。

この治療技術の習得は、単純です。同じ動作を繰り返し繰り返し行い、自分のものにしてしまうこと。非常に単純で退屈です。しかし、治療技術を身につけて、さらに前述の触診力と医学理論が相互に合体すると、大きな力を発揮します。

すなわち、「治せる」のです。

よく研修会やセミナーに沢山入っているけれど、なかなか治せないという人がいます。それはそれぞれの知識や技術がバラバラに頭に入っているだけで、体の中に染み込んでいないからなんです。

あえて当会では、他の研修会やセミナーには行くなとは言いません。多くの考え方や技術を身につけて欲しいからです。

もちろんセミナーの最中にその他で学んだことを練習されては困りますが。

でも、当会のセミナーを繰り返し繰り返し受講すると、きっと総合的な治療の力が身につき、仮に他のセミナーや研修会で学んだことであっても(もちろん当会のセミナーでの内容を重視して欲しいのですが)、治療の際に実用的に開花するものと信じます。

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