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按摩・マッサージ

膝屈曲変位に対するマッサージ

膝に対してマッサージを行う際には、膝関節の解剖学的構造とその動きを熟知しておかなければなりません。膝関節の可動困難にいたいして治療を行うためには、正常な動きがどういうものかがわかっていなければならないからです。

屈曲位から伸ばすときには膝蓋骨は上方変位します。それが普通です。もし上方に可動制限があると、膝は伸びにくくなります。
同時に膝窩の状態も見る必要があります。例えば半腱様筋や大腿二頭筋、あるいは腓腹筋の緊張があれば、膝窩筋膜は緊張し、やはり伸びにくくなります。

患者さんを仰臥位にして膝を観察すると、静止時でも屈曲位になっていることがあります。これは、常に膝を曲げた状態を続けているからです。

どうして膝を曲げた状態を続けているのか。それは、立位の際に、上半身を後方に反らした状態を続けているからです。
重心のバランスを取るためには、上半身が後方に位置移動したバランスを膝でカバーしようとします。そのため膝は屈曲胃になり、前方に重心を移そうとします。膝は伸展した状態が正常ですので、これは明らかに不正常な状態です。

これを続けていると、腓腹筋やひらめ筋に常に力が入り、膝窩筋膜を緊張させ、仰臥位においても屈曲位になってしまいます。またその姿勢を続けながら歩行すると、膝蓋骨は本来の動きを示さず、上方に行きにくくなるのです。
膝蓋骨が上方に行きにくくなるとき、膝蓋靱帯は緊張しています。膝蓋靱帯は大腿四頭筋の延長ですから、大腿四頭筋の筋膜を和らげる必要があります。そのためにマッサージをおこなうのであれば、大腿前面筋膜を伸展させなければなりません。あるいはまた、内外の膝蓋支帯の緊張も出ます。内側膝蓋支帯は内側広筋、外側膝蓋支帯は外側広筋の延長ですので、とりわけ膝蓋支帯に緊張があれば、内外の広筋筋膜の緊張を寛解させなければなりません。

もちろん、膝窩筋膜の緊張にも注目しなければなりません。患者さんを仰臥位にして膝を立てさせ、腓腹筋腱を圧します。緊張があれば圧痛が見られるでしょう。内外いずれかの緊張のみ見られるときは、その方により重心が傾いていると考えるべきです。その際は、内外の側副靱帯も見る必要がありますが、これは今回は書かずにおきます。

圧痛があればその部位に持続的に圧迫を加えます。すると約10秒で緊張が寛解し、痛みが薄れます。おおよそ20秒も圧迫を加えるのみでいいでしょう。

また膝窩筋膜全体を考えるのであれば、膝窩筋膜の線維に沿って四指腹で伸展を加えるという方法もとるべきです。

という事は膝窩筋膜の延長である鵞足部位なども見ていく必要も生じます。私の場合、鵞足に対しては把握揉捏を行うことが多いです。内側側副靱帯に問題があるとき、鵞足に緊張をゆるめることにより効果が出ることも良くあります。

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