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東洋医学

肝実

肝が実すると、血が滞ります。その結果、お(やまいだれ+於)血が生じます。

肝気も肝血の停滞するため、心の駆動作用に影響を及ぼします。

心の駆動作用とは名前の通り血を駆動させる作用のことですが、血が滞る、つまり血が動きがたくなるため、心がより強く動かざるを得なくなるんです。

そのため、しばらく時間がたつと心が疲弊し、その働きが弱くなってしまいます。

難経によれば、実すれば子を寫すといいますが、疲弊した心を寫法すると、かえって悪影響が出ます。

肝自体を寫法して、お血を改善し、肝の機能を取り戻し、なおかつ心への負担を軽くしなければなりません。

また、肝実になると、脾が虚します。

脾は胃に水を送り腐熟(消化)をさせ、また胃腸を統括します。当然脾が働くためには血が必要です。

肝実になりお血が発生すると、うまく脾に血が行き渡らなくなり、脾の機能が衰えます。肝が脾を剋した状態ですね。

この場合、肝に寫法を施し、脾には補法を施す必要があります。

肝の働きを正常にして、なおかつ脾の働きを円滑にするわけですね。

では、なぜ肝実になるんでしょうか。

いろいろの要因が考えられますが、一番よく見られるのは、腎機能の変調です。

腎は津液を循環させるとともに、気をも循環させます。津液と気の循環を統括し制御しているのが腎の働きです。

腎の働きが低下、つまり腎虚になると、肝に津液を十分送ることができなくなります。すると、肝血が濃くなりお血が生じやすくなります。そのため、肝実になるのです。

その腎虚になる要因として、肺虚あるいは肺実が考えられることがあります。

肺は、全身に津液と気を散布しますが、肺虚になるとその働きが衰えます。そのため、腎に十分な気と津液を送れなくなり、腎自体の機能が低下するのです。

肺実は肺に邪が侵入した状態あるいは肺に熱がこもった状態です。この状態ですと、津液が枯れ肺の宣発粛降作用が低下します。そのため、腎に津液を送れなくなります。

すなわち、肺虚でも肺実でも、腎虚が発生するんですね。

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