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東洋医学,病気,鍼灸,健康

坐骨神経に対する鍼灸

坐骨神経痛に対する鍼灸治療は、原因が神経根での圧迫(腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など)か、末梢での絞扼(梨状筋症候群など)かを鑑別し、解剖学的なアプローチと伝統的な経絡理論を組み合わせることで、非常に高い臨床効果を発揮します。


1. 絞扼部位と解剖学的アプローチ

坐骨神経(第4腰神経〜第3仙骨神経)の走行において、物理的な圧迫や筋膜の癒着が起きやすいポイントを直接ターゲットにします。


坐骨神経は骨盤腔から出る際に梨状筋の下(梨状筋下孔)を通過します。この周辺は鍼灸治療において最も重要なリリースポイントの一つです。

使用する経穴は主に下の通りです。


環跳

大殿筋・梨状筋。坐骨神経が骨盤から出る梨状筋下孔の直上にあたり、局所の筋緊張緩和と神経の血流(Vasa nervorum)の改善を狙います。


秩辺

大殿筋深部・仙結節靭帯。陰部神経や後大腿皮神経の絞扼を解放し、骨盤底から仙腸関節周辺のメカニカルなテンションを緩めます。


大腸兪、関元兪

第4腰神経、第5腰神経の神経根部。椎間関節周辺の多裂筋や胸腰筋膜の緊張を緩和し、神経根への物理的ストレスと炎症を減らします。


委中

膝窩部の脛骨神経・総腓骨神経の分岐部。神経の滑走性(Neural gliding)を高める上で重要であり、腰仙部のテンションを遠隔から抜く効果があります。


梨状筋以外に上双子筋、下双子筋、大腿方形筋なども神経の絞扼につながる場合もあります。筋緊張をよく確認して刺鍼する必要があります。


2. 経絡理論に基づく走行の鑑別

東洋医学では、放散痛のルートによってアプローチする経絡を変えるのが定石です。これは現代のデルマトーム(皮膚分節)と非常に高い一致を見せます。


足太陽膀胱経ルート(大腿後面〜ふくらはぎ〜足の外側)

第1仙骨神経の神経根領域の症状と一致しやすいルートです。腎虚(骨や腰の弱り)をベースに、冷えや湿邪の停滞(寒湿痺)が原因となることが多く、仙骨部(次髎など)への温灸や、パルス(低周波鍼通電)による血流改善が効果的です。


足少陽胆経ルート(大腿外側〜下腿外側)

第5腰神経神経根領域の症状と一致しやすいルートです。少陽経の気機鬱滞(身体の側面を支える筋膜チェーンのねじれや緊張)が関与しやすいため、陽陵泉(筋会)を用いて全身の筋膜・腱の緊張を緩和させます。


3. バイオメカニクスと硬膜の視点(統合的アプローチ)

局所の筋肉を緩めるだけでなく、脊柱管内の硬膜の緊張を考慮することが重要です。

後頭骨から頸椎、そして仙骨(S2)に至る硬膜の繋がり(Myodural Bridgeなどの概念)に異常なテンションがかかっていると、腰仙部の神経根を持続的に牽引してしまいます。鍼による局所・遠隔の筋膜リリースと、骨盤帯や頭蓋仙骨系の微細なアライメント調整を組み合わせることで、神経の滑走性が回復し、より根本的な痛みの消失が期待できます。


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