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筋痛や神経痛への鍼

最近免許を取った鍼灸師は特にですが、運動器系の病気、特に痛みに対して無力な人が多いように思います。
それはなぜか。
ひとつは、的確に対象を捉えた鍼をしていないからではないでしょうか。
最近は鍼灸学校がかなり増えたのですが、それに対して教員の質が伴っていません。教科書を教えることはできても鍼の実技を臨床に側して教えられる教員が圧倒的に不足しているように思います。
臨床経験の乏しい教員は、失敗を恐れます。学生が失敗するのをためらいます。その結果、深い鍼をすることを指導しません。
しかし、筋肉の痛みや神経痛のかなりのものは深い鍼もできなければ治療効果を上げることができません。
たとえば、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症による神経痛や殿部の痛みに対して、大腰筋や腸骨筋といった深部筋の筋膜をしっかりとらえることができなければ、効果はあまり上がりません。仮に大腰筋に作用させるには少なくとも4センチ以上刺すことができなければ無理です。2寸、あるいは3寸の鍼が必要になります。
それ以外の筋や神経の痛みに対してもそうです。筋膜は肥厚したり癒着を起こしたりします。それに対して、単に経穴に浅く刺すだけでは効果は上がりません。しっかりその病変の筋膜に鍼が届かなければ治療として意味がないのです。神経痛に関しても、多くの場合、筋膜に原因があり、その結果神経に影響を及ぼして痛みを起こすことが多いように思います。
脈を取ってそれに対してアプローチするのもいいでしょう。しかしそれだけでは運動器の痛みには対応することはかなり無理があります。
鍼治療は多様なものです。浅い鍼をして体調を整えるだけでは不十分です。ダイレクトに解剖学的な要素を持って、しっかりした鍼を打つことも重要なのです。

げんき本舗治療院
院長・羽山弘一

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