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気管支喘息を鍼灸で治すー2

前回は「気管支喘息を鍼灸で治す」について書きました。そこで書かれたものは、証としての治療についてです。もちろんこれだけでも改善効果はあるのですが、気管支喘息の場合、対症的にも治療を加えなければなかなか効果は出ません。今回はそれについて書いてみようと思います。

まず、痰が出ている気管支喘息と出ていない気管支喘息を分けなければなりません。出ているものには、豊隆を使います。豊隆がなぜ痰に効くのかは定かではありませんが、胃経に属していますので、脾に作用して津液が痰飲に変化するのを防ぐ作用があるものと思われます。実際に使用してみると、よく効果を表します。気管支喘息の主要な病症は気道閉塞感、呼吸困難ですが、痰が出ているときはまずそれを防ぐ必要があります。そのためには豊隆への治療がぜひ必要なのです。

ところがあまり痰が出ないタイプもあります。これには全く出ない場合と、痰が溜まっている感じがするのだけれども切れにくいタイプがあります。

前者の場合は、あえて津液を肺や気管支に送ってやるほうがよさそうです。特に気道閉塞感よりも咳の出るタイプ、いわゆる咳喘息では、津液を肺に送る必要があります。そのためには、腎兪や崑崙を使います。腎兪はジンそのものの働きを能くして津液の循環を促します。崑崙は水の排出を促しますが、それに伴い、全身の津液の循環を改善するのに役立ちます。

痰が溜まっている感じの時は、脾兪に対して補法を加え痰を薄めてやる必要があります。津液を作り出し、痰飲を改善するのです。脾兪に加えて章門も非常に有効な部位です。

もちろん、肺や気管支そのものへの治療も必要です。まず肺兪は思いつくでしょうが、それ以外に大杼、厥陰兪、心兪、督兪、膈兪などに対して鍼を行うことにより気管支に作用させます。厥陰兪、心兪は旨の熱を取ります。督兪や膈兪は上焦部位の「つまり」を改善させます。なお筆者は、足太陽膀胱経や督脉は一般と違って、1つずつ上を取ります。

胸の熱を取るのには、だん(月+檀の右)中がいいでしょう。喉のつまり感を取るのには、天突や廉泉を使います。どちらも響かせる必要があります。

また筆者はそれらに加え、よく淵腋を使います。淵腋は、肺の経別を見るとその経別が出るところであり、実際に気管支喘息の多くには強い圧痛が現れます。

もし咳喘息の時は、尺沢と中府です。徹底的に瀉法を行い、咳を止めます。しかし、このとき痰が多い場合、まず豊隆などで端を止めなければなりません。痰があるのに咳を止めれば却って呼吸困難になります。

なお、筆者は兪府やいく中、缺盆も使うときはあります。

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