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骨変位に対する鍼治療の限界を考える

鍼の作用・機序とは何でしょうか。

交感神経や副交感神経に働く作用、生理学的な作用等様々な観点から説明がされようとしています。

しかし、按摩やマッサージにできて鍼でしにくいものの一つに、

「骨を動かす」

という事があげられるように思います。

神経や筋への対処は、たとえば按摩やマッサージの場合、直接的に作用させます。

鍼の場合、直接的なおかつ反射などの神経的に作用させます(直接的な作用も神経的とも言えますが)。

ところが外力を加えて骨を動かすという行為は鍼ではできません。

もし骨の変位があって、それが原因で何らかの障害が起きているというとき、その骨変位に対処することは鍼でどの程度可能なんでしょうか。

できることは、その骨周囲の軟部支持組織を調べ、「動きやすい方向を作ってやるということ」です。

ただそこで考えたいのは、骨の変位があっても実はそれが症状につながらないことが多いという事です。

骨変位があっても動きの変位がなければ症状は起こりにくいのです。

ですから、(スラスト法は按摩やマッサージではあまり使わないでしょうが)、仮にスラストを使うときは、骨変位を治すだけではなく、可動性の変位を直す方向に持っていかなければならないのです。

そのことを考えると、骨の変位に対する鍼の効果は、可能性が広がってきます。

鍼により、骨の動き、つまり関節の動きですが、それを正常に持って行ってやる。

そのことが、骨の変位に対する鍼治療につながるように思います。

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