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治療
膜を意識した治療のいくつかの例(1)
手技による治療の例
女性30歳、主婦。やせ形。
左前方に首を傾けると右肩甲骨内側付近が痛いという。頚部の動作で上位胸椎が引っ張られ、上後鋸筋にストレスがかかる様相が見られる。本来このような動作を行うと、半棘筋などの斜筋群あるいは腸肋筋に問題があるのが普通だが、それらには問題なし。
これまで3回治療。当初、第3肋骨の後方変位と可動制限が見られたので、手技にて調整。更に上後鋸筋の緊張があったので圧迫。治療の結果、軽減は見られたものの動作痛はまだ残る。
自覚症状はないが、腰部筋の緊張が中程度ある。また、脊柱の正常湾曲がやや減弱している。
今回、仰臥位で頭蓋骨を見る。傾聴の結果、左腹部に何かある。
左腹部を触診すると、腸間膜に制限。圧迫しリリースするのを待つ。
その後座位で姿勢を見ると、脊柱の湾曲が正常に近くなる。背部動作痛はほぼ解消。
腸間膜の緊張が後腹壁に影響し、それが上位胸椎の可動制限をもたらし、肋骨の可動制限へつながり、上後鋸筋の緊張をもたらしたものと推定される。
男性50歳。会社員。中肉中背。マラソンを趣味としている。
走っていると膝に痛みを感じる。医師の診察でレントゲンの結果問題所見なし。
仰臥で膝の検査。可動性など問題なし。しかし膝窩筋膜を触診すると自覚はないものの著名な緊張がある。仰臥位のまま手技にて緊張をリリース。しかし、直接の手技では緊張はかなりとれるものの完全ではない。
しかし、全身を傾聴すると、胸郭に制限を感じる。
胸郭を観察すると、呼吸時の動きに制限。触診すると横隔膜に強い緊張。その緊張を取るように施術し、また胸郭にリコイル法を施し、動きの改善を図る。
その後膝窩筋膜を見ると、緊張は解消。
横隔膜の動きの制限が胸郭の正常運動を制限し、体幹から下肢に続く筋膜などの連鎖によって、疲労のたまった膝窩筋膜の緊張を助長させていたと思われる。
鍼による治療の例
男性35歳。自営業。中肉中背。
左肩甲骨内側の痛み。整形外科での検査で異常所見なし。他院で局所に鍼治療を受けたが効果なし。
触診すると、左肩甲骨内側には筋緊張は見られない。また肋骨の制限もない。しかし、棘突起外側の多裂筋、特に上位に強い緊張がある。
第7頸椎と第1胸椎棘突起間外方の多裂筋に刺鍼。痛いところに響くという。緊張寛解を確認後、
脊柱の動作制限の外側にある多裂筋数カ所に刺鍼。左第8、9胸椎間外方、左第11、12胸椎間外方。左側はいずれも左肩甲骨内側に放散痛があるという。右側にも解剖学的に脊柱に制限を加えていると考えられる筋に刺鍼。これらはすべて筋膜に鍼尖が当たるようにしている。
腰部筋の緊張と腰椎動作制限もあったので、腰部筋にも刺鍼。仙骨上の多裂筋腱膜に刺鍼したところ、腰部に放散するという。
最後に確認すると、左肩甲骨内側の痛みは解消したという。
しかし、まだ脊柱のいくつかに動作制限があり、その他骨盤の靱帯にも緊張が見られるので、複数回の治療が必要と考える。
げんき本舗治療院
http://www.genkihonpo.com
羽山弘一
女性30歳、主婦。やせ形。
左前方に首を傾けると右肩甲骨内側付近が痛いという。頚部の動作で上位胸椎が引っ張られ、上後鋸筋にストレスがかかる様相が見られる。本来このような動作を行うと、半棘筋などの斜筋群あるいは腸肋筋に問題があるのが普通だが、それらには問題なし。
これまで3回治療。当初、第3肋骨の後方変位と可動制限が見られたので、手技にて調整。更に上後鋸筋の緊張があったので圧迫。治療の結果、軽減は見られたものの動作痛はまだ残る。
自覚症状はないが、腰部筋の緊張が中程度ある。また、脊柱の正常湾曲がやや減弱している。
今回、仰臥位で頭蓋骨を見る。傾聴の結果、左腹部に何かある。
左腹部を触診すると、腸間膜に制限。圧迫しリリースするのを待つ。
その後座位で姿勢を見ると、脊柱の湾曲が正常に近くなる。背部動作痛はほぼ解消。
腸間膜の緊張が後腹壁に影響し、それが上位胸椎の可動制限をもたらし、肋骨の可動制限へつながり、上後鋸筋の緊張をもたらしたものと推定される。
男性50歳。会社員。中肉中背。マラソンを趣味としている。
走っていると膝に痛みを感じる。医師の診察でレントゲンの結果問題所見なし。
仰臥で膝の検査。可動性など問題なし。しかし膝窩筋膜を触診すると自覚はないものの著名な緊張がある。仰臥位のまま手技にて緊張をリリース。しかし、直接の手技では緊張はかなりとれるものの完全ではない。
しかし、全身を傾聴すると、胸郭に制限を感じる。
胸郭を観察すると、呼吸時の動きに制限。触診すると横隔膜に強い緊張。その緊張を取るように施術し、また胸郭にリコイル法を施し、動きの改善を図る。
その後膝窩筋膜を見ると、緊張は解消。
横隔膜の動きの制限が胸郭の正常運動を制限し、体幹から下肢に続く筋膜などの連鎖によって、疲労のたまった膝窩筋膜の緊張を助長させていたと思われる。
鍼による治療の例
男性35歳。自営業。中肉中背。
左肩甲骨内側の痛み。整形外科での検査で異常所見なし。他院で局所に鍼治療を受けたが効果なし。
触診すると、左肩甲骨内側には筋緊張は見られない。また肋骨の制限もない。しかし、棘突起外側の多裂筋、特に上位に強い緊張がある。
第7頸椎と第1胸椎棘突起間外方の多裂筋に刺鍼。痛いところに響くという。緊張寛解を確認後、
脊柱の動作制限の外側にある多裂筋数カ所に刺鍼。左第8、9胸椎間外方、左第11、12胸椎間外方。左側はいずれも左肩甲骨内側に放散痛があるという。右側にも解剖学的に脊柱に制限を加えていると考えられる筋に刺鍼。これらはすべて筋膜に鍼尖が当たるようにしている。
腰部筋の緊張と腰椎動作制限もあったので、腰部筋にも刺鍼。仙骨上の多裂筋腱膜に刺鍼したところ、腰部に放散するという。
最後に確認すると、左肩甲骨内側の痛みは解消したという。
しかし、まだ脊柱のいくつかに動作制限があり、その他骨盤の靱帯にも緊張が見られるので、複数回の治療が必要と考える。
げんき本舗治療院
http://www.genkihonpo.com
羽山弘一