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治療

胸脇部圧痛が著名な患者の一症例

章門穴(第11肋骨先端際)を軽く圧すると、著名な圧痛がある。特に左方。胸脇部の重苦しさもあるという。

ここには前鋸筋−外腹斜筋が通るので、これらの筋をリリース。しかし圧痛は改善しない。

外腹斜筋は白線を介して、反対側の内腹斜筋と拮抗する。
そのため白線を伸展リリースした後(これも圧痛)、反対側の内腹斜筋をリリースする。

その後章門穴の圧痛を確認したが、あまり変化はない。

内腹斜筋の筋膜は、鼠径靱帯を介して大腿前面筋膜と拮抗する。

そこで、大腿前面筋膜を「伸びにくい」方向に、伸展。伸びにくい方向はちょうど縫工筋の走行と対称的な向きだ。すなわち、大腿前面内方から膝の外方に向かってである。

そのような場合、通常膝関節は、大腿に対して下腿は内旋方向に制限がある。したがって、制限のない方向に関節に対して少し圧縮を加え回旋させる。すなわち、直接法ではなく、間接法、動きやすい方向である下腿外旋方向に動かした。

下腿の外旋傾向にある人は、脛骨下端は内方に移動するように、稜線が外弯するのが普通である。これに対しては、脛骨粗面部位と下端部を持ち、直接法、すなわち、外弯をまっすぐにさせるようにさせた。

この時点ではまだ章門穴の圧痛は、わずかに改善したもののすっきりとはしていない。

脛骨が外弯しているということは、脛骨の下端が内寄りに位置移動しているということである。すると足関節の外側は屈曲位になる。すなわち収縮する。
そのため靱帯の収縮を探したが、顕著なものは見られなかった。ところが腓骨動脈踵骨枝に若干の収縮があったのである。

そこで動脈に対して伸展を試みた。
すると、章門穴の圧痛がほとんど消え、胸脇部の重苦しさも解消したという。

聞けば数日前に足首を少しひねったという。おそらくその時、靱帯ではなく動脈に外力が加わり収縮状態に陥ったのであろう。
それが巡り巡って章門穴の圧痛と胸脇部の苦満に結びついたものと思われる。

最終的には動脈壁の収縮(過緊張)であるが、その一連の流れは全て筋膜の収縮である。

筋膜を含め中胚葉組織は全身を巡っているということを思い知らされた。


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