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こころの治療の最初は「心」から

鍼治療で精神的な症状改善を図る場合、五蔵における精神状態の配当、すなわち五志を考えて行う。

このうち、心は喜であるが、躁状態でない限り、この喜が原因で精神状態に変調を来すことはあまりないと思う。

しかし私は、心に対してまず治療を行う。

なぜか。

それは心が神を宿すからである。

神は精神状態の根本、人間の心の根源をなす。神がしっかりしていなくては他の志の変調を整えることはできないと考えるからである。

だからまず、心に対して鍼を行う。

使用する経穴は、心兪あるいは加えて厥陰兪、また、大陵または神門である。

心包を使うのは単に心を守る蔵であるからというのではない。臨床的に、厥陰兪や大陵を使った方が心の状態を整え活力をつけるのに適するように思うからである。

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