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経穴

胃熱と内庭

胃熱というのは、何らかの原因で胃に熱を帯びた状態のことをいいます。主要な症状は(東洋医学では病症といいますね)、胸焼けあるいは口内炎、胃の膨満感、げっぷ、口臭などでしょうか。それらが全て出てくるわけではなく。胸焼けだけが出てくるもの、対して症状のないもの、口内炎が中心のものと結構様々です。

原因には、実証の場合と虚証の場合があります。

実証の場合は、ほとんど飲食の仕方に問題があります。辛いものの食べ過ぎ、あるいはアルコールの取りすぎです。どちらも胃に熱を持たせるようになります。ある程度は、熱を自然に冷まそうとするんですが、身体がそれに耐えられなくなったときに、胃に熱がたまるようになってしまいます。本格的な胃熱の始まりです。

虚証の場合は、脾虚あるいは腎虚により、胃に気と津液(水)を送れなくなった状態のときに起きます。胃というのは活動するときに津液が必要です。津液がなければ腐熟(消化)を行うことができません。もちろん、活動のエネルギーである気も必要です。

脾は胃や腸の働きを統括しますが、特に胃が働くために気と津液を送るという作用をします。ところがその脾が弱った状態、すなわち脾虚になってしまうと、気と津液を十分に胃に送れなくなってしまいます。胃はそれでも活動しようとしますが、津液が足らないため、熱が生じてしまいます。胃熱の発生です。

腎は、身体全体の必要性に応じて、津液や気を流します。身体の活動の源です。ところが腎虚になるとその機能が減退し、津液と気を十分に流すことができなくなります。脾や胃に対してもです。脾への津液や気が少なくなると脾の活動は低下し胃に津液や気を送れなくなりますし、胃自体もやはり機能を低下させてしまいます。このような腎虚による胃熱は、むしろ慢性的なものの方が多いようです。

治療は、実証と虚証でもちろん異なります。

実証の場合は、脈は右の関上が浮実となります。このときに内庭に圧痛といった反応が出ることがあります。内庭は、足の第2、第3基節関節の間、足背側にある経穴です。足陽明胃経のえい(わかんむりの上に火2つ、下は水)穴であり、経脈に熱がこもったときによく反応の出るところです。

この内庭、足三里、中かん(月+完)などに瀉法を中心に行います。

問題は虚証ですね。脈を診ても胃を示す右関上に強く反応が現れません。現れたとしても無力ですので、よく見落とします。ですから、特に病症全体で判断しなければなりません。

この場合も内庭によく反応を表します。しかし、瀉法を行うとよくないのは自明です。虚証ですから補法を中心に行う必要があります。

通常、脾虚なら脾に(たとえば太白はよく使います)、腎虚なら腎に(たとえば大谿はよく使います)補法を行い、内庭には瀉法を行い熱を取るようにします。中かんには、補瀉に偏らずひびかせるようにした方がいいようです。胸焼けが強ければ、上かん(月+完)に瀉法を少し加えます。

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